いのちきらめく海(大水槽)には数多くの種類の魚が飼育されていますが、何種類かは数が少なく表示がされていないものもいます。そのような中で昨年マイワシの補充の際まぎれて入った魚が「カイワリ」という魚です。二枚貝の殻を合わせたような形から付いた名前ですがアジ科の魚です。たった一匹の混入でしたが、れっきとした理由があるのです。
 アジ科魚類の中には通称パイロットフィッシュと言ってサメや大型魚に寄り添ったり、先頭を誘導するように移動する種類が結構います。ブリモドキやシマアジ類幼魚などもそれに当たりますが、ここで言うパイロットは飛行機の操縦士のことではありません。パイロットとはそもそも港湾用語で「水先案内人」のことを言います。どこの港でも他所から来た船は入港前に水先案内人に入港許可をもらい接岸する岸壁への誘導をしてもらいます。パイロットフィッシュが先頭に立つとそのような如何にも水先案内人のように見えるからなのでしょう。

カイワリは通常大型のマダイ一匹にカイワリ一匹が付いているのが普通なので、マイワシが漁獲されたときにマイワシを食べようとしたマダイが一緒に捕まって連れてこられたのでしょう。ですからまとまってカイワリが漁獲されることは希で、市場にも出ることはめったにない魚です。しかし小型魚でありながら、味は数ある魚の中でも頂点に君臨するくらい美味しいと言われています。
 昨年15cmほどのサイズで入ったカイワリですが、マダイやドチザメを渡り歩きながら必死に餌を食べて今では最大サイズの20cmほどに成長しました。大水槽左側はスナメリが陣取っているため滅多に移動することはありませんが、右側上方の擬岩上が定位置のようで時折擬岩伝いに下の方へ行ったり戻ったりを繰り返しています。

大水槽右上奥でこれもまた非表示の「ヘダイ」に付いて移動するカイワリ